鋼構造ジャーナル記事詳細

2009年1月12日号 NO.1387

●09年度建築用鋼材の展望/鋼材需要、強まる不透明感
●西日本地区09年の建築見通し/影落とす着工延期・凍結
●11月の鉄骨需要は約43万トン/国交省建築着工統計
●新春インタビュー/09年わが社の方針/小野原 一賀、山岸 一也、弓場 勉、小川 眞一、公文 康進、大堀 直人、大澤 尚、太田 雅晴、百々 謙治郎、村田 稔、濱畑 松範、吉田 茂、菊川 博士、佐藤 憲夫
●ファブ企業経営の羅針盤・「社是」PartⅡ

〝苦境克服〟に向け新たな決意

関係団体が全国各地で賀詞交歓会

「業界の使命、責務と誇り」を

 深刻化する世界的な経済不況の影響を受けて銀行融資引き締め、建築需要の後退など建築業界全体の経営環境の悪化が懸念されている。適正利潤・品質の確保のほか、法令遵守、人材確保など山積する課題に業界の使命、責務と誇りで「この苦境を克服していこう」と今年も新たな決意のもと、全国各地で一斉に関係団体の賀詞交歓会が開かれた。
(関係団体の賀詞交歓会 写真左=日本鉄鋼連盟、写真右=日本建築学会ほか2団体)
 

2009年度建築用鋼材の展望

鋼材需要、強まる不透明感

鉄鋼メーカーは相次ぎ減産へ

 近年、国内外の粗鋼生産量は増加の一途をたどってきたが、10月の国内粗鋼生産量が29カ月ぶりに前年水準を下回った。世界的な経済情勢の悪化に伴い、自動車など様々な分野で需要の減退が顕著になっている。建築用鋼材では国内における中小物件の低迷に加え、これまで好調だった大型設備投資案件の延期や中止、東アジア向け輸出の冷え込みなども大きく影響しそうだ。

西日本地区 09年の建築見通し

需要に影落とす着工延期・凍結問題

電炉市況下押しで指し値に厳しさ

 師走も中旬を過ぎた12月16日、キヤノン長崎工場の建設着工延期が発表された。1000名規模の従業員を雇用する計画だっただけに、延期に地元が受けた衝撃は大きい。
 こうした設備投資関連の計画中止や延期、工事の縮小は、9月のリーマンブラザーズの経営破綻をきっかけとして景気が急速に減速に向かう10月に入ってから集中する。4万トン程度が見込まれた東芝四日市工場などの工事延期などで受ける鉄骨総量は相当の数に上るとみられる。
 このため今年の幕明けは、1年前とは少しばかり趣が異なる形で迎えることとなった。大阪駅周辺をはじめとした進行中の大型プロジェクトを見ると、活気あふれるかに感じるが、一連の再開発工事は峠を越え、これから着手される案件の数は少なくなっている。
 そうした中でのシャープ堺工場の第2期工事など既発表のものを除けば、大阪市内での近鉄百貨店建替え工事、梅田北ヤード再開発、大阪中央郵便局建替えなど、5万トンを超える工事への期待が高まる。
(写真=約4万トンの鉄骨を使用し建方が進む大阪駅北口ビル)
 

推定鉄骨需要量は約43万トン

着工面積、5カ月ぶり前年割れ

 国土交通省がまとめた11月の建築着工統計では、全着工面積は前年同月比7%減(前月比7.4%減)の1192万4000平方メートル。前年同月を下回るのは5カ月ぶり。
 構造別では、S造が前年同月比20.1%減(前月比14.8%減)の419万2000平方メートル、SRC造は同67.4%減(同37.3%減)の23万平方メートル。この結果推定される鉄骨需要量は、約43万トンの水準(前年同月は約56万トン)。

H形鋼は1万5千円の下げ

鋼材が大幅な値下がり

物調の12月資材価格調査

 建設物価調査会は、12月上旬に調査した主要建設資材の価格動向をまとめた。このうち東京地区の鋼材関係は、実勢価格でも大幅な値下がりとなった。H形鋼は前月比1万5000円下がってトン10万円となり、引き続き需要低迷から弱基調となっている。異形棒鋼も同1万5000円の値下がりでトン8万5000円となり、先行きも需要回復の兆しがなく弱基調推移となっている。また、等辺山形鋼も1万5000円下がってトン9万2000円、中厚板は同5000円下がってトン12万円となった。

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